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「金沢さん視力悪いでしょ?」
「へ?」
突然振られた話題に呆気に取られる。
「なんてんだろ、眼がうるうるしてて綺麗なんだよね~よく女優さんとかそんな眼を、してるんだけどね。」
降って湧いたような綺麗という単語に思わず戸惑いを覚える。
「ああ、近眼の人多いって言いますよね?僕は良くはないんですけど、日常生活には困らない程度ですよ。あ、でも乱視が入ってるから、矯正用の眼鏡は持ってます。」
「うん、その切れ長の眼差しが涼し気でイイね。」
そんな風に言われたのは初めてなので思わず面食らってしまう。
「ちょっとポーズ変えてみようか?」
椅子の角度が変えられた。
シンプルながらもミッドセンチュリーモダンな雰囲気が漂う空間には、そこかしこに沢山の椅子が置かれている。
「椅子、お好きなんですか?沢山ありますけど...」
慣れない空間に、話題を変えてみる。
「そうなの。趣味椅子集め。一目惚れすると、すぐに連れて帰ってきたくなるんだ。金沢さんが座ってるそいつは、俺の一番のお気に入り。」
以外な事実に驚きつつも、嬉しそうに笑う宇野さんはいつもとは違った表情に見える。
不覚にもキュンとしてしまった。
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