第1楽章

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「ほら、できたぞ」 「……ありがとう」  髪に触れると、綺麗に編み込まれた感触が指に伝わる。  可愛く結ってもらったことで、少しだけテンションが上がった。  しかしそれ以上に、母親の方が嬉しそうに声を上げた。 「あらー。相変わらず器用ね!錬くん」 「これも昔からやってることなんで、すっかり慣れさせられましたよ」 「いつになったら音羽は、錬くん離れするのかしらねえ」 「…お母さん、煩い」  プゥと頬を膨らませてソファから立ち上がると、学校へ行く準備をする。  その間、リビングでは母親と錬次の楽しそうな会話が飛び交っていた。 (うーん……)  歌も歌いたいし、フルートもやりたい。 (どっちを、専攻しようかな……)
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