0人が本棚に入れています
本棚に追加
――…
「で、お前は決めたのか?」
「ん……?」
「歌とフルート」
「うーん……まだ、迷ってるところなの」
青空の下、錬次と並んで学校へ向かっている途中。
「そうか。まあ好きな方取ればいいとは思うけど、片方に決めたからって、もう片方を止めちまうことはないんだからな」
チラリ、
錬次を仰ぎ見る。
少し、彼の身長が伸びたような気がする。
「それは、錬ちゃんも同じ…だよ?」
「……俺のことはいいんだ」
少し不機嫌そうに前を向く錬次。
そんな彼が少し寂しいと、音羽は小さな溜息を零した。
(錬ちゃん、いつまで我慢しているつもりなんだろう…)
これ以上は何も言えないまま、学校の門を潜った。
「あ、1年生だよね!良かったらテニス部に入らない?初心者大歓迎だよー!」
「書道部はどうですかー?」
「バスケ部に是非!!」
多方向から部活勧誘のチラシが差し出される。
最初のコメントを投稿しよう!