第1楽章

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 ――… 「で、お前は決めたのか?」 「ん……?」 「歌とフルート」 「うーん……まだ、迷ってるところなの」  青空の下、錬次と並んで学校へ向かっている途中。 「そうか。まあ好きな方取ればいいとは思うけど、片方に決めたからって、もう片方を止めちまうことはないんだからな」  チラリ、  錬次を仰ぎ見る。  少し、彼の身長が伸びたような気がする。 「それは、錬ちゃんも同じ…だよ?」 「……俺のことはいいんだ」  少し不機嫌そうに前を向く錬次。  そんな彼が少し寂しいと、音羽は小さな溜息を零した。 (錬ちゃん、いつまで我慢しているつもりなんだろう…)  これ以上は何も言えないまま、学校の門を潜った。 「あ、1年生だよね!良かったらテニス部に入らない?初心者大歓迎だよー!」 「書道部はどうですかー?」 「バスケ部に是非!!」  多方向から部活勧誘のチラシが差し出される。
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