序章

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 日本は一度死んだ――――。  20世紀の終わりより、問題視されてきた環境破壊。  幾度となく世界規模で議論がなされてきたが、めぼしい成果を見せぬままジリジリと地球は病んでいった。  発展途上国に環境を重視する余裕などない。優先されるべきは開発と発展。産業の活性化。汚染を気にして足踏みしていては、それだけ先進国との差は開く。国力の差が大きくなれば、それは自国の危機にもなりかねない。  21世紀になり、先が見え始めた資源を巡っての領土問題が各地で表面化し始める。  石油や石炭、天然ガスに代表される化石燃料。それは当時、産業を発展させるためには必要不可欠なエネルギーであり、特に石油は100年ももたずに枯渇すると言われており、それを確保することは、発展途上国だけではなく先進国にとっても大きな課題であったからだ。  発展途上国は、産業を発展させ国力を上げるために。先進国は、文化レベル――人々の生活水準を守るために、それを欲していた。
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