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動物園に到着するころには既に一日分の仕事を終わったみたいに着かれてしまった。
部長さんが真っ直ぐ動物園に向かわないであちこち寄り道するんだもん。
入場口には既に他の部員が到着して私たちを待っていた。
「美雪ちゃんおはようございます」
「おはようございます涼香先輩」
副部長の涼香先輩に会うと心が和む気がする。さっきまでの疲れも飛んでいきそう。
「ぐふふ、美雪殿は今日はスカートですか、制服もいいですが私服もいいですなあ。是非記念に一枚」
「朝からやめてよなのは、恥ずかしいんだから」
「何を言っているのですか! こんな美少女を見つけたら撮影しない方が罪ですぞ!」
長袖のブラウスにサングラス、日傘をさして麦わら帽子をかぶっている。日焼け防止の完全装備だ。
なのはは結局写真部に入っていたみたい。私が一人で大変な思いをしたのだって楽しそうに聞いていたし。
もしかして初めからこうなる事を知ってたんじゃ……。
「あら元気ないわね、どうしたの?」
副部長は相変わらずゆったりしている。
元気の有り余った部長と、それを全然気にしない副部長。この二人がどうして写真部に入ったのか気になってきた。
「だらしねえなあ、少しくらい早起きしたからって。ちゃんと朝飯食わないからだぞ」
朝からあれだけはしゃいでたのにまだまだ体力が有り余っているみたい。
あれ? 今までなのはがいたはずのに姿が見えない。
すごい勢いで撮影していたなのはは日陰のベンチに座って涼んでいる。
「終わりました? もう帰りたいんですけど」
汗だくになった顔をハンカチで拭きながらぐったりしている。
「なのは大丈夫?」
「暑い……溶ける……焼ける……」
少し休んだ方が良さそう、まだ入場すらしてないのに、部長と正反対で体力が無さすぎだよ。
「じゃあここからは別行動ということで!」
さっさと一人で何処かに行ってしまった。
残された三人。うち1人はベンチで休憩中。なんだかなあ。
「太陽に焼かれる……あそこに可愛いこが……体が溶けて動けない」
さっきまでの勢いはどこにいったんだか。燃料が切れたみたい。
部長も自分が企画しておいて私たちを放置するなんて、相変わらず勝手なんだから。
やっぱり頼りになるのは凉香先輩だけだ。
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