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口数の少ない椎名から会う約束を取り付け、正午までは仕事に集中した。
待ち合わせ場所は椎名の自宅。
オレが何を言い出すか分からないという警戒が見て取れるような選択だ。
当然だ。
前妻との間に自分の種ではない息子がいるなど、知られたくもないだろう。
樽沢との関係に気づかれたかもしれないという危惧もあるはずだ。
実際オレは、二人の関係を知った上で接触を図っている。
そして椎名にはもう一つ、知られてはならない秘密があった。
前妻に不貞を働かせた原因が、手前の女遊びであることだ。
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