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「――――梨花さん……ですか?」
名前を呼ばれて一瞬、驚いた表情を見せたけれど、直ぐに「井上梨花です」と名乗りお辞儀をされる。
モニターの音だけが響く無機質な部屋に、白い花が舞い込んできたように梨花さんは彼の傍へ佇んだ。
なんの反応も見せない父を…
彼女はどう思ったのだろう――
「なん…………っ――」
そう呟いた梨花さんの表情は苦悶に満ちて――
悲しんでいるようにも
哀れんでいるようにも
憎んでいるようにも――
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