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「私が素直じゃないのはお父さん譲りなのかな。もっと早くに来ればよかった……」
鼻声で呟きながら
「山野さん…ですよね。お世話になったようで、有難うございます。
これ、良ければ読んでやって下さい。きっと、貴女には知って貰いたい…
いえ、知ってほしいので。」
そう言って、手紙を差し出す。
受け取ることを躊躇する私に、芯の強そうな岡本さんに似た瞳が、大丈夫だから…と、その手紙を私の手に握らせた。
そこには――
梨花さんへの謝罪と愛情がたくさん綴られていて…
面と向かって話せない彼らしい言葉が溢れていた。
手紙の最後に、
-・-・-・-・
この手紙を書こうと決意したのも、梨花やお母さんに電話が出来たのも、山野さんという看護師さんのおかげなんだ。
梨花も、山野さんのように強くて優しい、誰からも愛される女性になって欲しい。
親として、何もしてやれなくてごめんな。
でも、ずっと愛してるぞ。
俺の天使。
-・-・-・-・
ホントに――
神様がいるのなら…
今のこの一瞬だけでも……
彼の意識を戻して――――
熱くなる目頭から涙が溢れないように、硬く唇をかんだ。
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