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話終えた私に、諦めにも似た表情で
「やっぱり最後は…お世話になった看護師さんに看取られたかったんでしょうね」と
淋しく笑みをおとした。
『白衣の天使が傍にいたら~』
彼の言葉をそのまま取れば、そうなのかも知れない…
でも……
「いいえ――
お父さんが -俺の天使-と書いてあったのは梨花さんのことでしょ。
梨花さんが……
天使が必ず来てくれるって、信じてたんじゃ無いですか?」
どうして……?
そんな言葉で私を見つめながら
「私は……白衣の天使なんかじゃ――」
最後の言葉を遮るように、私は首を横に振った。
真っ直ぐに佇む彼女の白いワンピース姿を、ゆっくりと見張る
「――今日の梨花さんは、ホントに白衣の天使ですよ」と。
顔をクシャクシャにして、彼の傍に駆け寄る彼女。
「お父さんっ……」
冷たくなりかけた父の手を握り締め、嗚咽を抑える事もなく泣き崩れた。
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