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三人は、すぐ隣で運転している『ひつじ』に聞こえないように笑いを耐えている。
別に聞こえたとしても ひつじなら性格的に怒りはしないだろうと奈央子は心の中で思っていたが、三人はひつじを良く知らないのだから、それが分かる訳ないとも思った。
かといって、教えてやるのも面倒だし、ちょっと面白いので あえて黙っていた。
「何がそんなに可笑(おか)しいんだい?」
野城が三人を助けるべく話を切り出した。
「や、だって」とあかね。
「おまえ、結構 面白い所あるんだな。近寄り難いイメージだったけど、これなら二泊三日も楽しめそうだわ」と透。
すると
「勘違いするな。僕は勉強しに行くんだ。それに君らがついて来てるだけだろう?僕は君らを楽しませるつもりは一ミリ足りとも無い」
「え?勉強しに?それは初耳だな」と透。
口を閉じる野城。数秒間の沈黙が流れる。そして、
「……………貴様(キサマ)ら。優から何も聞いてないのか」
と野城がゆっくりと言った。
「うん!」とあかね・礼央・透。
澄まし顔の優。オロオロ顔の奈央子。
この時の野城は、優への殺意MAXを記録していたのであった。
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