プロローグ

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「はァん?」 「ゆ・う・れ・い・。最近…出るんだって、軽井沢の別荘に」 「はァん?」 「母さんが言うには、この間、久しぶりに掃除しに行った時、確かに見たんだ。それがトラウマで、母さんはもう別荘には行きたくないって」 「はァん?」 「それよりも僕は、受験勉強に支障をもたらさないかとても不安だ。今年の夏休みは二週間位、別荘に泊まり掛けで勉強しようと考えてる。今年の夏は特に集中したい。でも、母さんの話を聞いてると、もし本当に別荘に幽霊が出るのなら…」 「はァん?」 「僕らの父さんの建てた別荘の話だ。おまえは近年は行ってないのかい?」 「はァ…あー、軽井沢の別荘な。そういや、高校生になってからはまだ一回も行ってねぇな。 おまえは行ってないのかい?」 「僕は、別荘には入れてもらえなかったんだ。君、父さんの僕への態度を知ってるだろ…。でも、去年父さんは亡くなった。だから、今年は行ける。今年の夏休みは勉強に集中したいんだ」 「でも、『幽霊が出る』って?」
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