プロローグ

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そして、出発の日の朝。 ミーン ミーン ミーン… とセミの鳴き声が響く。空は快晴。 苺学園には樹が多く植えられており、そこから聞こえる。緑色の葉が、強くて眩しい太陽の日差しを浴びて、明るい黄緑色に見える。葉たちの隙間から、光が流れているみたいだ。 季節は七月の半ば。 ちなみに昨日が終業式だった。なので今日は夏休み初日である。高校二年生の夏休みだ。 今日から三泊の間、奈央子は優、野城、あかね、透、礼央と一緒に「野城と優の父親が遺した別荘」に行く。 もちろん、優と野城意外全員が「昭仁は二人の父親」だとかいう家庭の事情は知らない。ただ何となく、遊びに行かせてもらうだけの感覚。 それに優と野城も、そんな事情はわざわざ打ち明ける必要性を感じていなかった。 現在、朝の九時。 奈央子・優・野城は苺学園の校門の前に荷物を置いて、あかね・礼央・透の三人を待っていた。
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