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1話「少女が空から落ちてきた?」
俺の家から学校までは歩いて約32分なのだが、家から出て17分程歩いた場所では建物の工事をしている。噂によるとマンションが建つらしかったが、とても五月蝿い。
そして、そんな道のりを俺は今ひとりで歩いている。朝起こしに来て、そのまま一緒に投稿する幼馴染の美少女も、何処かで待ち合わせをして一緒に登校する美少女もいない。
そんな退屈な通学路を歩いていると特に何もなく学校にたどり着いた。
市立山本第三中学校。校門の前に取り付けられている看板にはこう書かれている。市立山本第三中学校。これが俺の通う中学校だ。
特に何の変哲もない。偏差値が高いわけでも低いわけでもなく、何か特別に強い部活があるわけでもない。ただ、ほんのちょっとだけ野球部が強いらしい。
らしいというのは、先日たまたま名前も知らない何処かのクラスの奴が、そう話しているのを聞いたからだ。
そんな事を考えながら学校の中を歩き、教室の前まで辿り着く。
2年C組。それが俺のクラスだ。
教室の後ろのドアを開け入るが、誰も俺を気にとめようなんてせず、それぞれの事をしている。
教室の中を歩き、自分の席へと辿り着く。俺の席は一番窓側の後ろから二番目の席ではなくて、教室のほぼ真ん中の席だ。
廊下側特有の地獄のような寒さを体験する事も、窓際特権の体育の授業中の女子生徒を眺める事も出来ない。教卓の位置からは一番、目にとまりやすい。ある意味で一番最悪とも言える席だ。
この席が最悪な理由は更にもう一つある。それは、この席の周りはすべて既存の生徒で囲まれているという事だ。
これが、一番後ろの席であれば美少女の転入生がやってきた際に隣同士になれたかもしれないのに、この席ではそれが叶わない。誰かが転校などをしていなくなれば話は別なのだが、そう都合良くはいかないだろう。
そんな事を考えながら、朝のホームルームから帰りのホームルームまでのあらゆるものを聞き流した。途中てん何とかがどうとか聞こえた気がしたが気にしないでおこう。
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