不穏なる春風が吹く部室かな

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 と、そんなことを考えているうちに文芸部の部室が見えてきた。  一成はショートの髪に一番上のボタン以外はすべてした白いシャツと白と黒のチェックのパンツという格好で文芸部の部室に立ち「がらがら」と音を立てて引き戸を開ける。  と、部室の中にいた男子二人、女子二人合わせて四人が一斉に一成を見た。 「すいません。部活の見学に来ました」  一成が挨拶するやいなや、一成よりも少しだけ背の高い男子が一成の左右の肩を両手で掴み「うおおー! 早くも五人めの部員ゲット!!」と叫ぶ。  驚いた一成が何か言おう口を開きかけると横から「待て! 彼はまだうちに入るとは決めてないだろう」と声が飛び一成の肩にかかった手がすぐさまはねのけられる。
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