3人が本棚に入れています
本棚に追加
/151ページ
春の昼下がり。
ピンクをした花海堂の花が咲き誇る下で、少女がごく小さな声で独り言を言っているように見える。
その光景を、暗紅色のカーディガンに白いシャツ、黒地に黄土色の斜めの線と紋章が入ったネクタイ、黒と白のチェックのパンツの制服を身に付けた高校生が見ていた。
彼の名前は由比一成(ゆい かずなり)と言い、この四月から川戸(かわと)高校に通学しはじめた高校生である。
一成は普段なら少女が何をしていようと気にせずさっさっと行ってしまうのだが。
今回は何故か立ち止まった。
最初のコメントを投稿しよう!