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「…なん、で…」 無意識にそう呟きながら、自分の上に馬乗りになっている人物と視線が重なる。 「…ったく、世話がやける」 小さな舌打ちと共に聞こえてきた声は低く、それでも口元は綺麗な弧を描いていて。 私を見下ろす瞳は何故か優しそうだった。 「…小…牧先生……」 急いでいて気づかなかった。 私は管理人室の扉を開け、その場にいるであろう管理人さんの腕を掴んで走った。 走った、はずだった。 ……でも。 今私の目の前にいるのは紛れもなく私の高校の教諭ーー小牧湊であった。
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