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「すみません、いただきます」 「どうぞ」 この紅茶はご褒美らしい。 いいんですかと言ったら、特権だよと笑顔で返されたのは半年くらい前の話。 委員の仕事で毎週木曜日、この秘密基地に来ると出してくれる。 普段はクールで知的な先生は、ここでは少しだけ柔らかい印象だ。 口調だって堅苦しくなくて。 先生って言うより、年相応のお兄さんって感じ。 毎回そんな事を思うけれど、まあ、これは言わない方がいいのかな。 横目で先生の表情を瞳に映しながら淹れたての紅茶を一口すすった。 「あ、美味しい」 「それは良かった」 「小牧先生は紅茶だとストレート派ですか?」 「ん?うん、俺はストレート派かな。でもミルクも好きだけどね」 ミルクティーが好きだと言ったら、いつの間にかミルクも用意してくれるようになった。 つくづく気の利く人である。 そんな事を思いつつカラン、とカップの中に砂糖を入れ溶ける様を眺めた。
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