界渡の虚

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奈狐「…こんな、あたいで良ければ、その、恋人にしてください…!」 ―そう奈狐が返し、喜びに頬を染めた茴が彼女に抱き付くのを見取り、私は“見詰める世界”を閉じた。 ん?……おっと。画面の前の皆は初めまして。 あぁ、“君たち”は私を知っていても、此の話を見ている人々は初対面だろう? だからとりあえず、自己紹介させて貰うね。 私は“空亡 鵺”。 “『鴉真荘』の存在する世界”を造り出した存在さ。 と、言ってもこの肩書きに意味はない。 精々、気付かれない裏方 程度に認識してくれ。 すまない、すまない。 自己紹介は終わったよ。 じゃあ、君達の質問に答えよう。 私が茴と奈狐の稚拙にして微笑ましい恋情秘話を覗いていた理由を知りたい…? 何故分かったかって? 私はあらゆるものの起源だよ? 君達の心を読む事など簡単さ。 あぁ、小さな悪魔のお姫様。 君の“読心術”とはまた違う性質さ。 だから、“天概”の悪魔。 君も“閉ざす”意味はないよ。 ………また話がそれた。 まぁ理由自体は単純さ。 『“娘たち”が気になっている』 只、其れだけ。 彼女ら二柱は“僕が世界を造り出した時に生まれた”存在だから。 事実、彼女らを此の世に生み出す際に僕は『性質としての自分』を核にした。――つまり、彼女らは正真正銘、僕の娘 と言う訳だ。
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