第1章

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「何をぼーっとしているのよ~。ほら、早く入ってちょうだいっ」 「あ、はい…」 ニコニコしながら私を急かすこの人が一体誰なのか それだけは何も分からなかったけど とりあえず、この先へ進んでしまおうと ゆっくりとドアを開ける。 …開けようとした、したのだけれど。 今、自分が置かれている状況を理解してしまうと 急に全てが怖くなった。 嫌だ。受け止めたくない。 私は。私はまだ…。 ためらう気持ち。突然の恐怖に 私はただ足がすくむばかりだった。 「…貴方の気持ちはすごく分かるわ。だけど、このままじゃいけないの。貴方は…自分の死を受け止めるしかない…そして”居残り組”から少しでも早く抜け出すのよ」 だから、こんな言葉 信じることができなかった。 信じても報われるとは思えなかった。
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