連鎖

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「とにかく、急いで戻ろう!」 「あぁ、なんか大変な事になって来たな」 そう言った次の瞬間、俺の後ろで鋭いブレーキ音の後にクラッシュ音が響いた。 キーーッ! ガッシャーン!! 車が俺らの出ていったパブの入口に突っ込んでいた。 俺はすぐに車に走り寄った。 「おい!あんた大丈夫か?」 「ぅ~、か、かゆい…かゆい~~」 車に乗っていた人は下半身がちぢれていた。 だがそれに気がつかないのか、ひたすらそこにあったはずの腰を掻きむしりながら死んでいった。 「おい、誰か救急車!」 周りにいた誰かが叫んだ。 「そ、そんな…こんな、こんな馬鹿な事…」 「おい!とにかく今は病院へ行くぞ!そいつはもう助からない!」 アレックスはそう言いながら俺の手を掴んでエルザと走った。 エルザを見ると目に涙を浮かべていた。 走っている間にもあちらこちらでサイレンと人の叫び声が聞こえる。 しばらくして俺らは病院へ着いたが入口を見た瞬間愕然とした。 入口に沢山の患者が倒れて悶えているのだ。 「しっかりしてください!大丈夫ですから!」 「早く!抗ヒスタミンを持ってきて!」 あちらこちらで地面に座り込んでいる看護士や看護婦が見える。 その間にも患者は 「かゆい…かゆいよ~~~~…」 と悲痛に訴えていた。 俺らはその人達を乗り越えて中に入った。 中はもっとひどかった。 地面には血と膿で汚れて、端っこには黒い袋がいくつもあり、それに覆いかぶさるように泣いてる人々がいた。 「アレックス!何処にいたのよ!早く手伝って!人手が足りないの!」 彼女はアレックスと同期の看護婦だ。 「いつからだ?」 「貴方達が出ていった後すぐよ!最初は一人だったのが次から次へと増えていって最終的にはこの状態よ」 「治療の仕方は?」 「今の所全く見つかってないわ。唯一の救いはモルヒネ等の痛み止めが患者の症状を緩和出来るって事ぐらいかしら?」 「患者はまだ増え続けてるのか?」 「増えるも何もこの地区のほとんどの住民、いえ、このアメリカ全土の住民がこの症状に悩まされてるわ」 「アメリカ…全土…」 事態はどんどんやばくなるばかりだ。
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