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「指揮を取ろうにも医院長がいないから統制はバラバラだわ」
「新たな急患です!!」
「とにかく、今は目の前の患者を治療するのが手一杯だから貴方達も他の患者をお願い!」
そう言うと彼女は走って行ってしまった。
「よ、よし、とりあえずみんな落ち着け!」
「あんたが落ち着きなさいよ」
エルザはアレックスにそう突っ込んだ。
「いい、とにかくあなたたち二人は治療に集中して!私は他の状況を見てくるわ!」
「え?あ、あぁ…」
実は誰よりも頼りになるのはエルザなのでは…
こうして俺達の長い 一日が始まった。
とめどめもなくやってくる患者。それに比例するように増えていく黒い袋と泣き叫ぶ声。
俺達は全力を尽くした。
今までここまで働いたことがあるのかってくらい働いた。
だが俺らの治療も虚しくみんなどんどん死んでいった。
エルザの話を聞くにはこの状態はアメリカだけでなく、カナダ、ブラジル、キューバなどアメリカ大陸と一部がこのような事になっているらしい。
日本やイギリスにも同等のことが起こっているとか…
TVやラジオで放送していたらしい。
「クソ!政府は一体何をやっているんだ!」
アレックスが患者に包帯を巻きながら声を荒げて言った。
「政府は今の所、特に何も発表していないらしいわ。記者達はホワイトハウスの前で待ち構えてるらしいけど…」
「このままじゃ薬が足りなくなるぞ!」
そこへ一本のTVニュースが聞こえて来た。
「…臨時ニュースです。
体中がただれる怪病に新たなる情報が入りました。 この怪病で死んだ人が再び生き返り、人を襲うとの事です。中継が繋がっています。そちらはどうですか?」
画面が街中に変わった。
「…はい、こちらは今大変な事になっています!死人が突如生き返り、生者を襲うとの事です。
現に今、目の前で人々が襲われています!」
そう言うとカメラを辺りに写すように廻した。
そこには地獄絵図その物が映っていた。
アスファルトに飛び散っている肉片と血。
目の前でもとは人だった物が生きたまんまの人を食べていた。
「…ご覧の通りまさに地獄…ウワァ!」
そう言いながらカメラは下に落ち先程のレポーターの叫び声が響いていた。何かを引きずり出す音と共に最後は砂嵐しか流れなかった
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