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「…オイ、何だよ…アレ…」
少しばかりの時間、静寂が病院内を埋め尽くした
「オ、俺らもあいつらみたいになるんだ!」
近くにいた意識を保っていた患者がそう叫んだ。
「い、嫌だ!死ぬならまだしも、あんな化け物になるなんて!!」
「ちょ、皆さん!落ち着いてください!おち…」
その言葉が放たれた瞬間辺りは悲鳴で埋め尽くされた。
「イヤー!! ウワー!
キャーー!」
「クソ!収拾がつかないぞ!」
「皆さん!大丈夫です。落ち着いてください」
「オイ!見ろ死体が!」
そう誰かが言いながら指を指していた。
その先には先程亡くなった人が力無く立っていた。
「ヴォ~…~!!」
そいつがそう雄叫びを上げると周りにあった死体が次々と動き出した。
「と、父さん?父さんが…ウワァー!!」
「そんな…あなた…イヤーー!!」
突如生き返った死人達は次々とそばにいる人等に襲い掛かった。
「クソ!マジかよ!? おいカルロス、エルザ!逃げるぞ!」
「え?待って!まだ生きてる人が…」
「そんな事言ってるとお前まで殺られるぞ!」
俺はエルザを手荒に肩を掴むとカルロスと急いで側にある非常階段へ走って行った。
後ろでは、人の泣き叫ぶ声とうめき声で埋め尽くされていた。
「エルザ、とにかく今は逃げるんだ。死にたくないだろ!」
「…み、みんなが…患者のみんなが…うぅ…」
俺の隣で走っているエルザが力無く泣いていた。
こいつは気が強くても、人の死に対してはもろいみたいだ…
「クソ!何で開かねーんだよ!!」
アレックスは一階にある非常階段出口のドアのノブを回してた。
「チッ!このままじゃ奴らに追い付かれちまう…地下へ行くぞ!」
「地下へ?」
「一先ず隠れるぞ!幸いあそこには今日の分の遺体はまだ搬入されて無いからな!ほら、ボケッとしてないで行くぞ!」
そう言うと駆け足で地下へ繋がっている非常階段を降りて行った。
「…俺らも行こ。」
「う、うん…でも…」
「何だよ?」
「地下って例の死体のある場所だよ?」
俺ははっとした。
そう思った瞬間地下で叫び声がした。
「アレックスだ!行こ!」
こうして俺らは地下へ逃げる事になったのだ。
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