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グジュッ…ズチャッ…
その音はゆっくりと、しかし確実に俺達の側に近付いてきた。
「ねぇ!あれってもしかして…」
「あぁ、あの死体だ…」
俺達の目の前にそいつはいた…
死んだ後姿をくらまし、医院長を襲ったあの患者だ。
「オイ、どうすんだよ!」
アレックスは後ろに後ずさりしながら俺に言った。
「ちょっと貸して!」
ボケッとしてる俺にエルザはそう言うと俺の手に持っていた銃を取り上げ
化け物に向かって引き金を引いた。
バンッ!!
一発の炸裂音と共に化け物の右上頭部に穴があいた。
ビシャッという血の吹き出る音が響き化け物は崩れ落ちるように倒れた。
「お、ぉ~……お前いつからそんな腕を…」
俺は既に息絶えた死体を見ながらエルザにそう言った。
「こんな状況で、しかも片手で頭かよ…」
「…昔、射撃場に行くのが趣味だったの。まだ腕は落ちてないみたい」
こいつなら有り得る…
…恐ろしい奴だ
ていうか何者なんだ!?「と、とにかく部屋に隠れよう!」
アレックスが思い出したように言った。
「…それもそうね…行きましょカルロス」
エルザは手に持っている銃の銃口にフッと息を吹きかけるとそう言った。
「え?ま、まぁそうだな…」
医院長の謎はまだ残っているがこいつの事も疑問に思ってきた…
ていうかホントに一般人か?
いや、気が強いってのは知ってたがなんだかな…
「?、どうしたのあたしの顔をじっと見て…あ、分かった!あたしの顔が美しくて見とれちゃったのね(笑)」
あげくの果てには冗談まで言ってきやがる…この状況で…さっきの涙はどこいっちまったんだよ…
…だんだんコイツが恐くなってきた。
こーしてしばらくの間霊安室の中で隠れてる事にした。
上ではまだ人々の悲鳴が響き、外ではパトカーや消防車のサイレンと銃の鳴り響く音がしていた。
悪夢は、まだ始まったばかりだ。
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