希望への道

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「ぅぅ…何でも、私の知り合いの医者の話だとその病の原因は寄生虫らしいんだ…」 「な…寄生虫?」 その場にいた俺ら三人は店主の話に驚いた。 「あぁ、エキノコックスっていう奴らしいが今回はその新種が原因らしい。主な感染経路は…」 「野生の狐や犬等、生物全般に仲介宿主が存在し、それら生物の直接的接触、または間接的接触後による吸入。卵感染後数十年を経て、肝・肺・脳などに大きなのう胞を作る…だったっけ」 そうエルザは言った。 …よく知ってるな… 「…そっか、寄生されても数十年の時間がかかる事もあるから今回のような事が起こったのか」 アレックスは、はっとしたように喋り出した。 「今回は新種なだけあって休眠期間が分からなかったらしい…早く発病する者もいれば長い間発病しない者もいた…途中他の場所へ移住した者もいたからこんな事になったのかもな…」 店主はやたらと体を掻きむしっていた…。 「…けど、たかが寄生虫がここまでの事になるか?」 俺はそう尋ねた。 「寄生虫の中には種を繁栄させるために宿主を動かすこともあるわ。ある種類は芋虫に寄生した後わざと鳥に食べられるように目立つ場所に移動させるらしいわ。そうやって新たな宿主を捕まえるの」 エルザは俺の質問にそう答えた。 「今回の宿主は人間…しかも世界中沢山いるから狙ったのでしょうね…」 「寄生虫にそんなあたまがあるとは信じられんな」 アレックスが納得がいかない顔で言った。 「生物を馬鹿にしちゃいけないわ。彼等は私達の想像を遥かに越えているの…」 「とにかく、ようやく原因が分かったな。なんの解決にもなってないが…」 「いや、そうでもないわ。感染経路が分かった今、治療方法も見つかったわ」 「治療方法?」 「原因はエキノコックスによる寄生虫よ。昔は無理だったけど今の医療技術なら直せるわ!」 「なるほど…よし、とにかくこの街を出よ…ん、爺さん?」 店主はいつのまにか椅子にもたれ掛かってうつむいていた。 「…!?みんな離れて!」 エルザはそう言うと店主に向かって銃を向けた。 バンッ!!バンッ!! 二発の銃弾の音が店内に鳴り響いた。
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