咆哮

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あの後俺達は一先ず人気の無いピザ屋に身を潜めた。 「…どうする?これから…」 アレックスが店にあったペパロニピザに噛り付きながらそう俺らに向かって言った。 「とにかくこの街を出ましょ!外ならまだ生存者がいるかも知れないわ」 エルザはジンジャーエイルを片手に言った。 「ここまで壊滅的なのはこの街だけだといいんだが…」 そう言いながらTVのチャンネルを合わせていた。 「…駄目だな、どこも放送されてないな」 「ラジオは?」 「全く同じだ。情報は全て無くなったな」 俺はその時視線を下に降ろした。 「新聞か…死者が街中を歩く!…か」 「まるで趣味の悪いゲームをやってるみたいだな」 薄ら笑いを浮かべながらアレックスは新聞を覗いてた。 「なぁ…エルザ。俺達は本当に大丈夫なのかな?」 「さぁ…何せ発病するタイミングは人それぞれ個人差があるから…」 ジンジャーを飲みながらエルザはそう答えた。 「けど一先ず奴らとの身体的接触がないかぎりまず安全だと思うけど」 「もう夜中の2時か…」 アレックスは店に掛かっている時計を見た。 「そういえば何か随分静かじゃないか?」 店の中では窓に当たる風の音しかしてなかった。 「…ゾンビも寝るのかね?」 「一応生物だからね…」 「なぁ、今なら車を奪って街から出れるんじゃねーか?」 アレックスは窓から外を見ながら言った。 ピザはもう食べ終わったみたいだ。 「…ねぇ、下水道から街の外へ出られないかしら?」 「いや、可能だとは思うが何分、この街の下水は老朽化して一部塞がっていてちゃんと外に出られるか…」 「けど、やってみる価値はあるよね。ゾンビもいないんだし」 「強いて言えばワニが出るって事ぐらいじゃない?」 エルザが悪戯にそう言った。 「そりゃ俺に喧嘩売ってんのか?」 アレックスは少し顔を引きつらせながら言った。 「と、とにかく行ってみようよ!」 俺は慌てて中に入りそう言った。 このままほっといてたら確実に喧嘩になっていた… お互い銃持ってるし……ん?あ!そういえば俺は銃を持ってきて無いぞ! …どうしよう。 「ん?どうしたのカルロス。そんなに汗をかいて?」 「え!いや、何でもないよ!」 「?」 マジでヤバい…
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