咆哮

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「このまま行けば多分隣の街の筈だ…」 あのあと俺らは下水道に降り、隣街を目差して歩いていた。 「あれ?行き止まりだ…」 目の前には行く手を遮るようにコンクリの壁が立ち憚っていた。 「…ん?この扉は何処に繋がっているんだ?」 ふと右を見ると清掃員専用連絡通路と書かれてるドアがあった。 「隣に繋がってるんじゃないの?」 「…鍵は閉まってないな…」 ドアノブを回しながらアレックスは言った。 「よし!とりあえず中に入ろう」 アレックスはドアを勢いよく押した。 「…なんだ此処は?」 眼の前には沢山の水車が回っていて上には巨大なファンがゆっくりと回転していた。 どうやら下水処理施設のようだ。 床は金網で覆われていて下には真っ黒な水が埋め尽くされていた。 「ねえ!あれ!」 俺達から10mぐらい離れてる所に淡い緑色の服を着たゾンビが二体いた。 「こんな所にも居たのか…」 そいつらは俺達に気付いたのかよたよたした足取りでこちらに近づいて来た。 「…この、そこどけ!」 アレックスはそう言うと奴らに近付き手にしたショットガンでぶっ放した。 バスンッ!! 銃に大きな火柱が出ると同時にゾンビは撃たれた反動で吹き飛んだ。 水に赤い血が混ざりドス黒い色になった。 「へっ、どうだ!」 アレックスは自慢そうな顔で既に死んだ死体にそう言った。 「…さ、さっさと行こうぜ!」 その時俺達の後ろから金網が外れる大きな音がした。 「な、なん、何だよアレ…」 俺達の後ろには床の金網の消えた場所にそいつはいた。 黒みがかった緑色の体。 ワニのような大きな頭には鋭い牙が生えていた。 目視するかぎり10m以上はあるだろうか。 「アレックス…あなたの話は嘘じゃなかったわね…」 「この化け物が!」 ショットガンが奴に向けて火を吹いた。 しかし奴には全く効いていないのか、のそのそとこっちに向かって来た。 「そんなの効かないわ!急いで逃げましょ!」 エルザはアレックスの腕を掴み出口まで俺と走った。 化け物は雄叫びを上げながら金網をのし上げ、俺達に追ってきた。 「お願い!開いて!」 エルザは出口のドアを力強く引っ張った。 ガチャッ!
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