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「ん~っ…毎回毎回思うんだけど、こんな場所で遅番する意味あるのかな?絶対誰も運ばれてこないわよ?」
エルザがそう言った。
「仕方がないさ、一応これも仕事なんだし我慢しろよ」
これは俺だ。
「…こら!そんな雑談してないで真面目に資料まとめろ。」
アレックスは仕事にはとても厳しい。
ま、だから頼りになるんだが…
「は~い。…はぁ、たまには手がつけられない位怪我した患者運ばれて来ないかな~。」
「お前それ不謹慎窮まりないぞ。」
「だってさ~、緊急病棟て言うわりには来る人来る人みんな骨折だったり喰いもんが喉につまったお年寄りだったり…これじゃあ、ただの病院だよ。」
「ま、それは言えてるな。だけど仕方がないさ、こんなド田舎に滅多な事じゃそーゆうのはこな…」
ビー!ビー!ビー!
俺がそう言う瞬間ブザーが辺りに響いた。
「おっと、急患だ。どうせたいした怪我じゃないと思うが…カルロス、エルザ行くぞ!」
アレックスが急いで白衣を着て駆け足で走りながら言った。
…あ、そうそう言い忘れてたな。
アレックスが言っていたが…俺の名はカルロス、カルロス・カートランドってのが俺の本名だ。
急患はストレッチャーに乗せられて運ばれて来た。
俺はその患者の顔を見て背筋に悪寒が走った。
「う…これは酷いな。酷く爛れてる…。患者の名は?」
「はい、え~患者の名はロイ・ブラント37歳。自宅からの緊急電話で連絡してきました。
電話での会話中、極度の悪寒とかゆみを訴えてました。」
そう会話をストレッチャーを運びながらやっている間にも患者はうわごとのように
「う、う~、寒い…ああ~…かゆい…」
と言っていた。
緊急治療室に運び込まれて来た頃には体中の皮膚は赤くただれ、中の筋肉や骨が見えるほどになっていた。
よくこれでまだ生きていれるのか不思議だった。
「いけない!患者の血圧が急激に低下してるわ!早く施さないと彼…」
そう言う前にピーーー!と心電図のフラット音が辺りに響いた。
「くそ!直ぐに電気ショックの用意を!」
「駄目です!全く反応がありません!」
エルザは涙目になりながらそう言った。
「………瞳孔が開いたまんまだ……残念だがもう…手の施しようがない…」
アレックスが力無くそう言った。
既に死んでいる患者はまるで生きているように俺の腕にまだ力強く手を掴んでいた…
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