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「おーい、今日の報酬だぞ」
アレックスは先程稼いだ金をエルザに分けた。
「なかなか稼いで来たみたいね。二人ともご苦労様♪」
エルザはあの後キャンプで医者の仕事を続けている。
こいつは医者より俺らの仕事の方が向いてると思うんだが…
俺らより銃の扱いが上手いし…あの事件の後からというものエルザは精神的に大分強くなって、ちょっとやそっとでは泣かない位たくましくなった。
それにともなって俺に対するいじめも酷くなっていった。
「どうせアレックスしか役に立ってなかったんでしょ?」
エルザは笑いながら俺を見てそう言った。
相変わらず酷い言いようだ…
昔の方がまだましだ…
いや、たくましくなったのは喜ぶべきだと思うが、コイツは前から既にたくましかったからな…
複雑な気分だ…
「それにしても大分回復して来たわね、だからって余り無謀な事はしないでよ。 アレックス!あなたもよ!」
エルザは腕を組みながら俺らにそう言った。
「へいへい。分かっていますよ…」
…エルザには色々と感謝してる。
あの鰐に殺されそうになった時も、俺が怪我してまともに生活が出来なかった時も、こいつは必死に俺を助けてくれた。
ま、だから未だにこいつには頭が上がらないんだが…
「…とにかく疲れたでしょ?部屋に戻ってゆっくり休んだら?」
「そぅだな…じゃ、先に戻ってるわ」
「あ、俺はちょっと用事があるから。先に戻っててくれ!」
アレックスはどうせいつもの酒場で遊んでから帰るんだろ…あの後からというものあいつも随分変わった。
昔のように先輩ぶる事も無くなって随分おちゃらけた…もとい、くだけた人になってしまった。
あいつはそれで幸せなのならいいが、酒癖は相変わらずだ。
「…ふ~、疲れたな」
俺は自分の部屋でそう言いながら服を脱いだ。
鏡で自分の左眼を覗き込むように見る。
鏡に写った俺の左眼は猫の様に黄金色に光っていた。
あの怪我をした後から俺の左眼は少しずつ色が変わっていった。
エルザに検査してもらったが原因は不明の様だ。
左眼の色が段々と濃くなるにつれて俺の体にある変化が出て来た。
その変化というのは…
コンコン!
「カルロス?居る?」
エルザの声が聞こえて来た。
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