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「何?どうしたの?」
俺は上半身裸のままでドアを開けた。
「ちょっと飲みに行くからたまには付き合って。 …とりあえず、服着てからね…」
「え?あ、あぁ分かった」
俺は部屋に戻ると急いで汚れていない服に着替えた。
「ごめんごめん!着替えてた途中だったんだ」
「…別にいいわよ」
何、顔を赤らめてるんだコイツは?
「…さ、行きましょ!」
パブは相変わらず、人がごったがえしていた。
先程仕事をして来たのだろうか?服が血で汚れたまんまで酒を仲間と一緒に飲んでいる同業者があちらこちらにいる。
側にいるテーブルに囲ってポーカーをやっている軍服の人達もいる。
俺らは席がふたつ空いてるカウンターの端っこに座った。
「…おじさん!」
エルザは側にいるちょび髭の人に言った。
「やぁ、エルザちゃん。相変わらず綺麗だねぇ。
分かってるよ、いつものだね!
…そちらの彼氏は?」
「同じのでいいわ」
「はいよ!」
彼氏って…おっちゃん。
「…はい、おまちど!」
おっちゃんは俺らに綺麗な色の酒を出してきた。
…何の酒だ?
「エルザちゃんすみにおけないねぇ?。
こんな彼氏を連れて来ちゃって…」
「違うわよ。ただの友人よ」
エルザは先程の酒を飲みながらおっちゃんにそう言った。
そりゃそうだ、俺だってそう言う所だった。
「友人以上恋人未満ってとこぐらいかな?」
何言っとんじゃこのおっちゃんは!?
「まぁ、そんくらい…」
ってヲイ!お前も何言ってんだよ!
冗談でもオリャ嫌だぞ!
エルザはそんな俺の心の叫びに気がつかないでのんきに酒を飲んでいた。
「…どう?眼の調子は」
エルザは酒の無くなったグラスを見ながら俺に言った。
「え?…んー、相変わらずってとこかな?」
「あの力も相変わらず?」
「…あぁ」
「まぁ、便利な力手に入れたんだからそんな気にする事ないわよ」
「いや、気にしちゃいないんだが…」
フフッと笑うとエルザはこんな事を言った。
「正直、あなたのその力に最初は驚いたわ。
あらゆる全ての生物の動きを正確に先読み出来るなんて…」
そう…俺のある変化というのは、生物に限らず、全ての物の先が見えてしまう眼を持ってしまったのだ。
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