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「…お、何だお前らもいたのか?」
アレックスが俺らのカウンターの間に顔を覗かせて言った。
…随分できあがってるみたいだ。
「お二人ともいい仲だねぇ?うらやましい限りだなぁ」
完全にイッテるな…
「お、ダチが呼んでるわ。そんじゃ…」
アレックスはそう言うとフラフラした足どりで奥のテーブルに向かって行った…
何杯飲んだのだろうか…
「…あんな酔っ払いはほっときましょ」
エルザは空になったグラスをおっちゃんに渡しながら言った。
いや、あんたも十分酔っ払いだぞエルザ…
一時間後
外はすっかり暗くなり、
店の中はますますにぎわって来た。
「おじさーん、もう一杯ちょうだい♪」
「お前、いくらなんでも飲み過ぎだろ…」
俺はカウンターの下に手を置いていた。
「っうるさいわねー、あたしの勝手でしょぉ…」 そう言いながらエルザはグラスを下に落とした。
パシッ!
落ちたグラスは俺の手の中にすっぽりと入った。
「ったく…おっちゃん!ご馳走さま」
「はいよ!またな」
俺はおっちゃんに金を渡してエルザの肩を抱えると店を後にした。
「ちょっと!まだ全然飲んでないわよぉ」
「はいはい、分かったよ…ハァ」
まさかこいつも酒癖が悪かったなんてな…
いや、何となく分かる気もするが…
俺はエルザ持ち抱え、奴の部屋に投げ込んだ。
ドスッ!!
「あぅっ…!」
「全く、自分でベッドに行くんだぞ!」
「うぅぅ…」
「分かったな!じゃ!」
俺はそう言ってドアを閉めた。
…なんか疲れがどっと出て来た…これからはあいつの誘いは断ろう……
俺はそう心に決め、自分の部屋に帰って行った。
はぁ、疲れた…ちっとも楽しめなかった…
いや、楽しむつもりは最初っから無かったが…
…今日はもう寝よ…
俺はベッドに死ぬように倒れ込んだ。
こうして俺の最悪の夜は過ぎて行ったのだった。
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