第二部 襲撃

6/8
前へ
/129ページ
次へ
「おい、カルロス、起きてるか?仕事に行くぞ!」 アレックスの呼び声で俺は目を覚ました。 「ん、あぁちょっと待っててくれ…」 俺はベッドから起き上がり急いで支度をした。 …それにしてもアイツはよく二日酔いしないな… たくましい内臓をお持ちで… 「おい!起きろエルザ!…」 しばらくの間があった後、エルザは扉を開け俺らに顔を覗かせた。 「…お、お願い…そんなに大きな声で…」 こいつはすっかり、二日酔いのようだ… 酒は呑めども呑まれるな…その言葉をこいつは知ってるのだろうか… てか、医者が何やってんだよ… 「早くしねぇと遅刻するぞ!」 カルロスはエルザにそう言うと俺に先に待ってると言い残し先に行ってしまった。 「たく…ほら、早く着替えろ!」 俺はそう言ってドアを閉めた。 「ごめん、待たしちゃって…ぅぅ、」 あれから20分経った…俺らはいいがコイツは遅刻決定だな… 「ほら、急ぐぞ!」 「ぅぅ、だから声を…」 俺はエルザの手を掴み、外へ走って行った。 「…で、なんでここにエルザがいるんだ?」 カルロスはジープを走らせながらそう言った。 エルザはあのあと仕事場に向かわせたが酔っ払いは邪魔だと言われ追い出されて、俺の後をついてきたのだ。 「まぁ、いいじゃん。こいつの休暇だと思えば…」 「ぅぅ…」 エルザは車の後部座席で頭を抱えてた。 「…ホントに大丈夫かコイツ?」 「…多分」 「あ、あたしの事は大丈夫よ、ちゃんと手伝ってあげるから…あぅぅ」 …いや、無理だろ! 「はぁー…しかたねぇ、カルロス!ちゃんとエルザを守れよ」 「分かってるよ…」 …多分二日酔いでもコイツは俺よりも強いはずだから大丈夫だと思うが… 「カルロス…水をちょうだい…」 「あぁ、ほれ」 俺は腰につけてた水筒を差し出した。 エルザはそれを少しずつゆっくりと飲んでいた。 …やっぱ大丈夫じゃないか… 果たして俺はコイツを守れるのだろうか… 不安になってきたわ… ジープは俺達を乗せ、荒廃した街の中を砂煙を上げながら走っていた。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2607人が本棚に入れています
本棚に追加