2607人が本棚に入れています
本棚に追加
…バスンッ!!
車はキャンプから少し離れた住宅街で突如止まってしまった。
「あれ?この!動け!……クソ!」
アレックスはエンジンをかけながら文句を言っていた。
「どうしたの…?」
先程の水を飲んだおかげか、エルザは大分良くなったようだ…
「分からねーな……あ!マジかよ!ガス欠だ!」
みるとガソリンの残量が底をついた事を知らせるランプが点灯していた。
「少し待ってろ。後ろに予備の燃料があったはずだから…」
アレックスはそう言うと車を降り、後ろのポリタンクを取り出して給油をし始めた。
…のどかだ…
地面には血があちらこちらに飛び散っていて、離れた所にゾンビが数体こちらに気付かずに突っ立ている事を除けば実に静かで平和だった。
空は雲ひとつない…
いや、三つあるか…
エルザは空を見上げながらのんきに鼻歌を歌っている。
俺はそんなエルザの顔をぼーっと見ていた。
「…よし、補給完了!
さぁ行くぞ…って随分、のんきだなお前ら」
カルロスは呆れた顔で俺とエルザの顔を見ながらそう言った。
「いや、だって…ねぇ?」
「お前ら…今、危険地帯の中なんだぞ一応…」
「そりゃそうだけど、たまにはさぁ…」
ズダダダダダダダ!!
俺達の向こう側に突然アサルトライフルの銃撃音が聞こえて来た。
「あの車一体何があったんだ?」
「…何かあの車、様子がおかしいわ」
車は左右に蛇行しながら
こちらに向かって来る。
「ありゃスピナーに襲われてるな…カルロス、エルザ、逃げるぞ!」
カルロスは急いで車に乗り込み、エンジンをかけると後ろに急発進した。
「いでっ!!」
俺は車に後頭部をぶつけた。
「ちょっ!スピナーって何よ!」
「とてつもなくデケェ蜘蛛だよ!しっかりつかまってろ!!」
アレックスは車をバック運転しながらエルザに言った。
そこへ蛇行運転してた車が近づいて来た。
その車は全身真っ白な糸で覆われていて元がなんの車なのか判別出来なかった。
車の上にそいつはいた。 全身に毛がびっしりと生え、まるでタランチュラが大きくなったような見た目だった。
車の中では誰かの叫び声と銃声が響いている。
「クソ!このままじゃぶつかっちまう!」
車は後少しでぶつかる程近づいていた。
最初のコメントを投稿しよう!