2607人が本棚に入れています
本棚に追加
「…貸してくれ!」
俺はそう言いながらハンドルを右におもいっきし曲げた。
「うわ!ちょっ、馬鹿!よせ!」
キキキーーッ!!
車は勢いよく回転すると先程の車の後ろに回り込んだ。
…この左眼のお陰で助かった…
スピナーは車の上でガッチリとしがみついていた 。
「エルザ!このショットガンを使え!」
俺は足元に置いてあったアレックスの銃をエルザに渡した。
エルザは銃を受け取ると間髪入れず、目の前にいるスピナーに向けて撃った。
ズドンッ!ズドンッ!
二発とも奴に見事に直撃した!
撃たれた衝撃でスピナーは宙に舞い、俺らの後ろに吹き飛んでいった。
「いよっしゃー!!」
エルザは吹き飛んだ蜘蛛を見るとガッツポーズをとってそう叫んだ。
あの後俺らは車を止め、蜘蛛の巣まみれの車に乗っている人を助けた。
「…いや、マジで助かったよ!アンタらがいなかったら今頃…」
「とにかく何ともなくてよかったよ」
「あぁ、だがコイツは…」
車に乗っていたのは二人だけだった。
車を運転していた人は無傷だが銃を撃っていた男は腕に酷い傷を負っている…
「くそぉ…あの害虫め…俺の腕を…」
男は右手で左上腕を掴みながらそう言った。
「待って!今治療してあげるから…」
エルザは車から応急箱を持ってきた。
…いつ持って来た。俺らの車に…
「…はい、一応応急処置はしたからもう大丈夫よ。だけどキャンプに戻ったらすぐに病院に来て下さい」
「ありがとうなお嬢ちゃん…」
「…どうだ?車の調子は?」
「蜘蛛の巣を取り払えばなんとかなるな…」
もう一人の男が自分の車に付いている糸を引きはがしながら言った。
「よかったら俺らの車に乗るか?」
アレックスは俺らの車を顎で指しながら二人に言った。
「いや、これ以上は迷惑はかけられないからな…
もう俺達は大丈夫だからあんたらは先に帰ってくれ」
「そっか…よし、カルロス、エルザ!キャンプに戻るぞ」
アレックスは車に乗り込み、俺らにむかって言った。
「それじゃ、ゾンビに気をつけてくださいね!」
エルザは二人に軽く会釈すると俺の手を掴んで車に乗り込んだ。
「…お前、二日酔い直ったのか?」
「さっきのですっかり直っちゃったわよ!」
最初のコメントを投稿しよう!