第一部 始まり

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「……なぁ、なんだったろうなあれ。」 あのあと死体を霊安室に運んでロビーで皆で一息ついていた時アレックスがそぅ言った。 「さあ…けどとにかくやばかったのは確かだ」 「結構この病院で働いてるがあんな症状初めてだよ」 エルザはあの後しばらく泣きじゃくっていた。 無理も無い… あんな事があったんだ。 俺はコーヒーを飲みながら自分の腕を見ていた。 患者の最後の力で掴んだ腕を… 「…全身の皮膚がただれ、腐れおちていたっていうのにあの患者は普通に生きていた。 あれじゃあまるでゾ…」 「考えすぎですよ。そんな事あるわけ……無いですよ」 アレックスは大きな溜め息を吐いて、 「…そうだよな…考えすぎだな……」 と言った。 「けど、なんかしらの重大な病にかかっていたのは事実ですよ。」 エルザはだいぶ落ち着いてきたようだ。 「感染症は大丈夫なんでしょうか?」 「さぁな。とりあえず俺らはなんともないから平気だろ。」 その確証は何処からくるのだろうか… 「とにかく、明日医院長に話さないとな…」 こうしてこの夜は更けていったのであった。 これから起こることも何も知らず…
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