増殖

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「…なぁ、いい加減話し合えよ…」 酒場で俺らは酒も飲まずうつむいたままだった。 「…ねぇ…」 エルザが俺にぼそりと話しかけた。 「今朝の事は無かった事にしよ…」 「…ぁぁ」 「ったく、お前らはガキなんだよ。そんなの気にすんな!」 アレックスは俺らの肩をポンッと叩きながらそう話しかけた。 …忘れられる訳無かった。 コイツの事は好きじゃないのに……俺は… パァン!パァン! そんな事を考えていたら、いきなり外から銃声が聞こえてきた。 「ブッ!何だ!?」 アレックスは飲んでいた酒を吹き出すと外を見た。 「オイ!キャンプ内にゾンビがいるぞ!」 外で誰かがそう叫んでいた。 「オイ、見に行くぞ!」 「え?」 アレックスはガシッと俺らの肩を掴んで外へ出た。 「…何でこんなキャンプの真っ只中に?」 俺らは銃声の聞こえた場所に走っていくとすでにそこは野次馬に囲まれていた。 「…すいません、すいません、ちょっと…!!」 俺達は野次馬を押しのけて中を除いた。 そこにいたのは無惨な姿に変わったあのスピナーに襲われた人の内の一人だった。 「なんで…この人が…」 その男の腹部には大きな膨らみがあったがまだその時の俺達はそれに気付かなかった。 「まさかゾンビがあの人だったとはな…」 俺らはあの後自分の部屋で話し合っていた。 「感染してたのか?」 「…あの後、結局あの人検査しに来なかった…」 「ちゃんと検査しておけば…」 アレックスはタバコをふかしながら言った。 「…そういえばもう一人の方は?」 俺はふと思い出しエルザにそう聞いた。 「分からない…他の同業者の人達に聞いたけど、あの日から見てないって…」 「…それにしてもなんで今まで気付かなかったんだろ?」 「ずっと部屋に閉じこもってたんじゃねーか?」 「あの後死体は?」 「キャンプの外に軍が捨ててきたらしいわ」 「なぁ、おかしくねぇか?今まで一度足りともキャンプ内でゾンビの事故は無かったんだぜ?」 「…とりあえず今日はもう寝よぅ。疲れた…」 「…そうだな」 二人はそう言い、アレックスとエルザは部屋から出て行った。 「あ…エルザ。またカルロスの部屋で遊んじゃ…ぐはっ!」 エルザはアレックスの腹におもいっきり膝蹴りをいれてた。
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