増殖

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「あまりここにはいたくないなぁ…」 俺はジメジメした下水道の中で愚痴をもらしてた。 あの事故の後から俺は下水道が少し怖くなっていた。 「大丈夫よ。またアイツが出て来たらあたしが追っ払ってやるから!」 エルザは俺達の先を歩きながらそう言った。 お前がそう言ってくれると有り難いよ… 「なぁ、そろそろ出てもいいんじゃねぇか?」 アレックスは上にあるマンホールを覗きながら言った。 アレックスもこの下水道にはあまり居たくないようだ… 「あなた達ビビり過ぎなのよ。そんなビクつかなくてもすぐに出ては来な…」 ズシーンッ!! 前方で大きな地響きが聞こえて来た。 「…やっぱ上に逃げよ!」 俺は側にある梯に掴みながらエルザに言った。 ジャキッ!! 「逃げは許されないわよ!」 彼女は俺に銃を突き付けて睨みながら言った。 「いや、だって…」 「全く…いい、見てなさい!」 「お、おい!エルザ…」 そう言うと、エルザは地響きのした方へ銃を構えながら行ってしまった。 「…ちょっとカルロス、アレックス。早く来て!」 しばらく経ってエルザは俺達を呼んだ。 「ど、どうだ…なんかいたか?」 「これ見て…」 俺達の前には白目になりながら既に死んでいるあの鰐が倒れていた。 「これは…あの時のアイツか?」 「体にいくつかの銃傷があるから恐らく…」 「何で死んだんだ?」 アレックスは鰐の顔を覗きながら聞いた。 「さぁ?けどついさっきに死んだみたいね。まだ温かいわ」 さっきの地響きはコイツが倒れた音のようだ。 「…それにしてもコイツ、随分太ってんな」 鰐の下腹部ば異様な程張っていた。 「たらふくビールを飲んだんかね?」 銃で突つきながらアレックスはそう言った。 いや、そりゃ無いだろ…お前じゃないんだから。 「うわ!動いたぞコイツ!」 鰐は俺達の前で突然動き出した。 「しつこいんだよコノ!」 ダンダンダン!! エルザは生き返った鰐に大量の銃弾を撃ち込んだ。 「グギャッ!ガアァァ!」 鰐は口から血を出し、最後の断末魔を発すると静かになった。 その瞬間 モゾモゾモゾ…メリッ! 鰐が死んだ途端に腹が勝手に動き出し、真っ二つに裂けた。 そこから大量のあるものが溢れ出た。 蜘蛛だ… 大量の
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