千瀬

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 「私に、描けるのかな?」  「描けるとか描けないじゃなくて描くの。大丈夫だって、千瀬が手抜きしたって誰も気づかないって。インパクトのある絵を描きたいなら、もう私が出せるアイディアはこのくらいしかないよ。間に合わない感じだったら、三日くらい前に先生に言っておけば何とかしてくれるって、千瀬が気にすることはあまりないよ。先生から誘ったんだし。とりあえず、ガンバ!」  一方的に電話を切られてしまった。  幸恵の言うとおり、千瀬は入学してからクラス全員を観察していた。そして、それぞれの特徴や性格、付き合っていく上での注意点はある程度分かっていた。  千瀬は早速、その日のうちにある程度の構成をまとめた。提出期限は二週間に迫っていたが、今はやるしかない。幸恵に相談してよかったと思っている。
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