千瀬

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 結局、締め切りの三日前に完成し、提出することができた。自分で見てもなかなかの出来栄えである。  「西田に声をかけて正解だった」  先生は嬉しそうに言った。  文化祭当日、千瀬の絵は多くの絵が当日に飾られた、三年一組の教室に飾られた。A2サイズの紙に書かれた、千瀬が特徴や性格などをイメージして書いた似顔絵風のイラストは、名前が書かれていなくても誰が誰なのか容易に区別がつくくらい上手かった。  千瀬は、飾られている自分の絵を見なかったが、後から聞いた話では、千瀬の絵はだいぶ好評だったらしい。  三日間行われた文化祭も終わり、後方付けの日に千瀬は自分の絵を取りに三年一組の教室へ行った。  「この絵、凄いね」  少し聞きなれた声が教室の中から聞こえた。うちのクラスの中にも、他に出展した人がいるのだろうと、千瀬は気にも留めずに教室の中に入った。
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