21人が本棚に入れています
本棚に追加
教室に入った千瀬は目を疑った。千瀬が書いた絵の前に優衣が立っていたのだ。後ろ姿ではなく、横からの姿が見えたため、容易に確認できた。さっきの声は優衣だったようだ。
よく見ると、奥にもう一人いる。橋野奈々である。奈々は優衣と仲が良く、いつも一緒にいる。
「これ、うちのクラスだよね。こんな絵が描けるなんて凄い。誰が誰だかすぐにわかるもん」
奈々が感心したように言った。
「あの」
千瀬は勇気を持って声をかけた。
「あ、西田さん」
二人は千瀬に気付き、千瀬を見た。
「西田さんが描いたんだよね、この絵。凄いよ。なんか、みんなのことをよく見てるなって感じ」
奈々が少し嬉しそうに言った。
「本当ですか?」
表にはあまり出さないが、千瀬は内心、とても嬉しかった。
最初のコメントを投稿しよう!