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千瀬は偶然目に入った布を取り出した。ストックしておいただけであまり使わなかったようで、三メートル四方の物が八枚も出てきた。
これなら使える。
千瀬はまず、一枚の布を倒れている男性に被せると、器用に男性を包めた。制服に血が付かないように慎重に行った。男性は意外と小柄だったようで、予想よりも多く布の端が余った。余った布の端を結ぶためのロープを探したが、どこにもなかった。焦っている千瀬は、ガタガタと大きな音を立てながら探していることに途中で気が付いた。ハッと我に返ると、偶然ガムテープが千瀬の目に入った。代用としては十分なものである。古いガムテープの粘着力がどの程度落ちているのか分からなかったため、千瀬はぐるぐると何周にも重ねた。
千瀬はもう一枚の布を上からかぶせると、さっきの結び目が下に来るように丸めた。一枚目の布の結び目と二枚目の布の結び目が正反対になるように。そして、一枚目と同様に布の余った部分をガムテープで何周も巻いた。
ガムテープが無くなるまで死体の入った布全体をグルグル巻きすると、それを美術道具が無造作に置かれている大きな箱の中に雑に投げ入れた。そうしておけば、少しは誤魔化せるかもしれないと千瀬は思った。
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