第2話 FIRST MISSION !!

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水郷寺温泉までだったら520円で足りるのに…。 半泣き状態の祐介に対し、“どうするの?”と妃由が問いかけてくる。 「こうなったら、アレをやるしかない・・・」 「ストレートショットか?」 祐介が技名を言う前に春樹が言ってしまった。 ストレートショットとは違法的且つ強引な、今時の不良達が得意とする技だ。 やり方は簡単、まずスケーターと呼ばれ、靴底に2つの車輪が付いている特殊な靴で改札まで行く。 次にエントランス改札口寸前で飛んで(ジャンプ)、改札を飛び越えようというわけだ。 着地後は追ってくる警備員を振り切り逃げ切るだけ。 祐介はこの技で3回も成功しているのだ。 「ユウ、やめておいた方が良い。JLE(Japanese Line Eastの略)の方でも飛び越えさせまいと網を張る手段に出たらしい。成功確率的には55%位らしい。知らんけど・・・」 “55%ってまた微妙な確率だな。しかも最後は丸投げかよ” 犯罪の分類としては、改札強制通過罪に入る。もちろん失敗すれば、罰金300万円払わされた後、懲役1年間喰らってしまう。 しかし俺は、第1級犯罪の“殺人”以外はなんだってやってきた男だ。網を張ろうが、何をしようが無駄なこと。 「はぁ、跳ねる魚を網でキャッチか?俺にはそんなものは利かないね」 祐介は自慢げに言い張る。 ―信府駅 第7層 エントランス改札口 東側Big Screen前― 信府駅は列島横断線がある地下5階を第1層とし、国内企業のオフィスがある地上10階までの全15層に分かれており、第7層から9層までは吹き抜けになっている。 この駅で厄介なのは、セキュリティゲートとエントランス改札口の2つを通過しなければ、外に出る事が出来ないところである。 道内の中心地ともあって、厳重なセキュリティを敷く必要があったらしい。 甲信八神線とアクアラインホームがある第7層のセキュリティゲートは北西と南東の2つあり、アクアラインから甲信八神線に乗り換える場合、南東のゲートから吹き抜けの円周通路を経由し、北西のゲートを潜らなければいけない。 しかし祐介が乗ったのは無人駅の海国南。モノレールには現金や定期券を持たずに乗車する事は出来るが、道内の駅で降りるのは非常に面倒である。列車の扉にセンサーが取り付けられており、それが全ての道民達の体内に埋め込まれている生体センサーと反応し“ログ”を残す。
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