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そして、煙玉は数秒もしないうちに勢い良く、色のついた煙が噴出した。
煙玉が全て発動したのを確認すると、右腰のホルダーにしまっておいたガス銃を取り出し、鎖網に銃口を向けた。
このガス銃は祐介愛用の銃で名前はファイアーエンブレムだ。
特徴としては装飾銃マスターインパクトの原型を留めたままフル改造し、6㎜プラ弾を使わず、違法弾丸・甲殻シェル弾を使用している。この弾丸は貝の殻を加工した物で、障害物に当たると細かく飛び散り、周囲に居る者達に傷を負わせるという1985年に大会で使用禁止になった物だが、市場には少なからず流通している。
また注入ガスは引火性ガスで、銃口に取り付けてある自動発火装置で引火するシステムになっている。ガスを極限まで圧縮してあるので爆発的な威力を出すことが可能だ。
ただし、1回のガス注入で撃てる発数は1発限りなので土壇場の緊急事態にいつも使っている。
左手で銃を持ち、照準を鎖網に合わせる、そして右手を左手にそっと添える。祐介は周りに躊躇することなく引き金を引いた。
銃から青白い火柱が射出されると共に爆発音が改札口に響き渡った。祐介は撃った反動で後ろの壁に背を打ちつけられてしまったが、鎖網は見事に真っ赤になり、蒸気が立ち上っていた。
祐介は構えていた銃をすばやくホルダーにしまい、左腰から刃渡り20cmのナイフを取り出し構えた。
そして、力強く壁を蹴ると勢い良く改札口に滑って行った。
祐介は改札口の手前で大きくジャンプし、鎖網の直前で1回転の宙返りをした後、左手に構えていたナイフを網に叩きつけた。
その瞬間、ナイフからたちまち炎が噴出し、そして・・・。
けたたましい音を立てながら見事、鎖網を撃破。
そのまま祐介は壁にぶつからないように大きく旋回しながら着地。
その後、駅員にGoodの手振りとウィンクを見せるとまた加速をつけて出口に向かおうとした。
「ばっ馬鹿な鎖網を突き破っただとう!?已むを得ん、飛び越え防止特殊行動部隊出動、奴を捕獲しろ!!」
駅員室から迷彩服を着た3人の屈強な大男達が出て早々に、銃を構える。
その男達は祐介の周囲を目掛けて煙幕弾を十数発、発砲。
その瞬間、周りにいた利用客たちは一斉にパニックになり、南北口へ向かって一斉に走り出した。
気がつけば改札口周辺には白い煙が立ち込め、辺り一帯何も見えなくなっていた。
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