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第2話 FIRST MISSION !!
暫く3人で結婚の話で盛り上がりながら電車は終点“信府”へ向かう。
信府市。甲斐道で道庁がある道内の中心地。
少し前までは過疎化が進んで、シャッター通りが目立つ寂れた市街地だった。
しかしその後、都市開発が急速に進み、今では関東甲信越地区の中でも大都市に数えられる程までに急成長を果たした。
日本の首都に一番近くにありながら、田舎街のレッテルを貼られた場所は、日本の中心・武蔵国都よりも活気があり、今や“東洋のドバイ”と謂われるまでになった。
都市開発で最も力を注いだのは、超強力なバイパス機能を持った巨大ターミナル・駅ビルの建設だ。
北の蝦夷国と南の琉球王国の三ヶ国間を結ぶ超長距離リニアモーターカー“列島横断線”
武蔵国都と信濃県を結ぶ“日本中央本線”
景勝地・信濃県軽石町を終点としたリゾート鉄道“甲信八神線”
甲斐道と駿河県を結ぶ長距離モノレール“アクアライン”
道内を自動車で周回できる高速道路“甲斐道環状線”
道内を二輪車で周回出来るサイクリングロード“サイクル48”
道内15か所の地下都市を結ぶ地底高速道路“Mid Night High Way”、など全部で28路線が交わっている。
それに加え、駅から南に延びるメインストリートの上には、全国の地方を結び、小型航空機の離着陸が可能な“Japan Country Sky Terminal (JCST)”が併設されている。
そして本来、駅ビルと言えば駅機能のほかに、様々なテナントや企業が入っているが、この駅ビルは他とは少し違う。
水族館や映画館などの娯楽施設、学生塾や図書館などの学業施設、飲食店や風俗店も入った巨大ショッピングモールなどの商業施設の他にも、120社にも及ぶ国内企業が軒を連ねる。
元々、世界有数の観光地として有名だった甲斐道は、収入の殆どが観光で賄っている為、道民が本来負担すべき税金は他県と比べても格段に安かった。消費税が無いのもここだけだ。
今まで都市開発が進まなかったのは、現職の知事と信府市長のやる気がなかった為である。
それがたった一人の中学生が作った“近未来都市構想”というホラ話が蔓延し過ぎて、収拾がつかなくなってしまった。
その為急遽、去年8月に行われた“甲斐道W選挙”にて、道庁の職員を含めた全議員が、都市開発派の圧勝によって総入れ替えになった。
それからは目まぐるしい発展を遂げた。
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