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キャズには冬が訪れていた。
普段はにぎやかな城下町も、しんと静まり返っている。
外は雪が積もっていて、店はどこも開けていなかった。
キャズの冬はどこよりも寒い。大抵の人は家にこもって、暖かい暖炉の前にじーっとしているのだった。
そんな雪の中を、一人の若い男が歩いていた。
背はスラッと高く、身体には程良い筋肉がついていて、鍛えているのが分かる。薄汚れたマントの上から、剣と荷物を背負っていた。地元の人間ではないようで、かなり薄着だ。
30分程前から、また雪がしんしんと降り始めていて、男の頭には粉雪が積もり始めていた。
男は適当に角を右に曲がったところで、小さな喫茶店の看板を見つけた。
ドアノブには「open」の文字。
ずっと休める場所を探してさまよっていた男は、ニカッと笑うと、急いで中に入っていった。
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