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「何してるの。危ないよ!」
「ミズキ……、こんなところで何してるの」
「なにって、買い物の帰り。ユウちゃんこそ何やってるの。なにか落としちゃったの?」
私は口の端だけで小さく笑った。
「買い物って、七味いっぱい買ってきたの?」
今度は彼女が口元だけで笑った。
「ねえ、いま時間ある? パフェ食べに行かない?」
夕陽に縁取られた彼女の長い髪は悪戯な風にさらわれ、一瞬彼女の表情を隠した。
「ねえ、行こう?」
頬にかかる髪を耳にかけた彼女は微笑んでいた。
私の返事を待たずに、彼女は私の手を掴んで歩きだす。 まるで早くこの場から立ち去りたいかのように。
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