第1章

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「食べなきゃいけないって言うけど、生きないっていう選択肢はなかったの?」  その選択肢があれば、無理に食べる必要などないはずだ。  彼女はパフェの上にのっていたチェリーを口に入れ、目を細めた。 「だって、生きるために生まれてきたんでしょ?」  彼女の瞳はまっすぐで、力強かった。  私は直視していられなくて、融けはじめているパフェのてっぺんをスプーンでつついた。  ──生きるために。  おかしいのは私のほうだったのだろうか。  しんどいのなら死ねばいい。無理に生きることもない。  そう思っていた私の頭のほうがおかしかったのだろうか。 「ねえ……。私って、イヤなやつだね」 「どうして?」 「ミズキのこと、ずっと馬鹿にしてた。嫌なやつだと思ってた」  哀れなのは、私のほうだった。  彼女のように現状を変える努力をしようともせずに、ただ流されて。  それでもプライドだけは捨てきれずに、他人のことを見下して。  なんてつまらない人間なのだろう。
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