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男の子は、頭を横にふる。
『たくさん、君を傷つけた。
だから君は、此処に来てしまった。』
俯き悲しそうな顔をする。
彼は、僕の心がわかるのか、そう答えた。
黒の世界の中、僕らの身体だけが光をまとっていて、蛍の儚い光のように、どこか切なさを感じた。
目の前の男の子は、とても辛そうな顔をしていた。
『…思い出して。
名前を。
君の名前を。』
必死に僕の肩を揺らす両手は、微かに震えている。
僕は答えられず、彼の瞳を覗いていた。
そこには自分が映っていて、揺れる瞳に吸い込まれるかのように見つめた。
僕と彼は、双子みたいに、瓜二つだった。
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