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感覚が伝うように、彼の感情が流れ込んで、僕の胸に突き刺さる。
痛い。傷い。
苦しい。悲しい。寂しい。哀しい。
きっと、言葉じゃ言い表せない感情。
僕は、いつの間にか泣いていた。
そして彼も、泣いていた。
この傷みを僕は知っている。
これは、僕の中にずっとあった傷だ。
僕が僕を嫌った傷だ。
彼の涙を、切ない声を、傷を、僕はよく知っている。
一番よく知っている。
僕は、彼の頭を抱えて、身体を引き寄せた。
「僕と君は、同じ名前。
僕らの名前は、海。
海だ。」
僕の音で、世界に息がかかる。
透き通る群青が流れだし、岩や珊瑚が姿を見せ、魚たちが泳ぎ出した。
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