プロローグ

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「これから打ち上げとかあるんですか?」 「まぁ、そうだね」 「大人ってずるーい」 「何言ってるんだよ」 「来年には私たちのこと忘れちゃうんでしょ?」 「ばーか、忘れないよ、お前たちのことは」 「帰ったら色紙、見てくださいね」 「見るよ」 後ろからは弾んだ声のはずなのにさみしい気持ちが滲む会話が聞こえてくる。 今日が本当に最後なのに。もうこれでずっと会えないのに。 このままここにいたら泣きそうだ。 周りは一面ピンクに染まり空とのコントラストが鮮やかできれいだ。 皮肉なもので今年の桜は咲くのが早い。 まるで今日という最後を華やかに祝うようで私としては全然嬉しくない。 まだ1年しか経っていないはずなのに今日で終わってしまうかのような妙な錯覚を引き起こす。
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