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「ねぇ、聞いてる?」 「え?」 「もう!だから、同窓会!」 「あぁ、うん、聞いてる聞いてる!」 実際問題聞いていなかった私は慌ててそう答える。 目の前で少々怒り気味の彼女は私とは小学生からの付き合いで親友である、野々崎遥加だ。 遥加が春でないのが私としては少し残念なのだが、彼女はそれが気に入っているらしく「遥加が春じゃないから意外性があっていいのよ」とそこを突っ込まれるたびによく言っている。 「で、ここ、行くよね?」 ここ、というのは私のあだ名で神林こころ、の下の名前をただ略して呼んでいるだけとも言えるが、私はこのあだ名が結構気に入っていたりする。 「そう、だね」 幾分物思いに耽っていた私が頼りない返事をすれば遥加に訝しげな顔をされる。 「行く行く!もちろん!」 無理にテンションを上げて返事をすれば遥加は興奮気味に机を叩いた。 「そうこなくっちゃ!同窓会だなんて、なんていい響き!ロマンだわ~素敵な再会が待ってるかも!」 私は若干呆れて頬杖をついた。 「ちょっとちょっと、彼氏くんはどうしたのよ?」 「あー、あれ?ダメ、最低」 「なによ?運命の出会いがどうたらって言ってたじゃない。ねぇ?」 「ぶふっ」 話を振られて吹き出したのは遥加と同じく付き合いの長い渡辺知香である。 この2人とは小学生の時からよくつるんでおり、それぞれが別々の道を選んだ今でも連絡をとっては集まっている。 ここは3人のお気に入りのカフェであり、マスターともいつの間にか顔馴染みになってしまった。 昼食を済ませ一息ついた私たちは食後のデザートをまったりと食べながら久し振りの女子会に花を咲かせる。 高校を卒業してすぐに就職した知香はなかなか忙しく、3人で過ごす時間もあの頃に比べたら随分と減ってしまった。
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